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教育社会学を学べるおすすめの大学院は?

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教育学系の大学院で勉強したいと考えて、ネットで大学院を検索していると、
たまに見かける「教育社会学」という学問。
“教育学と違うの?”、“社会学なの?”と疑問に思う人もいるかもしれません。
教育社会学は教育にまつわる様々なテーマを扱う学問です。
今まで教育学で進路を考えている人が教育社会学を理解できれば、
“もしかしたら自分が関心を持っていること、
大学院で研究したいテーマは教育社会学にあるのかもしれない”
と思えるようになるかもしれません。
なお、教育社会学の研究者・教授が多数在籍している、
東京大学大学院の教育学研究科への進学と院試対策を考えている人は
noteで限定公開していますこちらの記事で網羅的に対策を紹介しています。

教育社会学とは?

教育社会学とは簡単に言うと、
教育にまつわる様々な事象を社会学的に研究する、
社会学の手法から分析していく学問です。

教育社会学は英語で「Sociology of Education」なので、
まさに教育を社会事象として捉えて社会学的に研究する分野です。
ただ、これだけではよくわからないと思います。
教育社会学をより理解するために
教育学との違いが分かったほうがいいですね。

教育社会学と教育学との違い

教育社会学と教育学との違いは、
「教育」をどのように扱っているか、という点です。
教育学は、
教育に関する様々な問題をどのように解決すべきか研究するものだとしたら、
教育社会学は、
教育に関する問題を、そもそもなぜ問題と見なされるのか、
その問題の社会背景には何があるのか、
どのようなものが問題に関係しているのかを研究します。
例えば、「移民の子どもの学力不足」という問題があったとしたら、
教育学であれば、
“子どもの文化的背景を考慮して、
個別のサポートによって学力向上を測るべきだ”
という方向に進めるとしたら、
教育社会学であれば、
“現在の学校教育は、日本人の価値観を前提とした
画一的な試験の成績による評価のみになっており、
移民の子どもが持っている多様な力を評価することができていない”
といった方向に進みます。
この例え話はかなり単純化してしまっていますが、
つまり、
教育学は教育に関する問題は確かに存在して解決する対象と見なす一方で、
教育社会学は、そのような問題も含めて教育の様々な事象を当たり前のものとせずに、
それに疑問を投げかけ、教育から社会の在り方を捉えなおす学問
と言ってもいいでしょう。
さらに教育社会学の手法的な特徴として、
実証研究を重視している、という点もあります。
実証研究とは、仮説(研究の問いに対する仮の答え)を導くために、
定量的・定性的なデータをもとに分析をしていく研究のことです。
教育社会学における実証研究の例として、
教育格差に関する研究であれば、
親の職業や収入、地域、性別などの
定量的データを組み合わせて、その相関関係を調べたり、
生徒の進学意欲についての研究であれば、
生徒と教師の面談などの学校内で行われるものを
参与観察して定性的なデータとして分析することなどです。
このため、
教育社会学では統計的な分析手法を身につけることが重要視されることもあります。

教育社会学の研究テーマ:教育社会学で学べること

教育社会学の研究テーマは単に、
“こういう教育であれば学力が上がる”、
“学校教育とはこうあるべきだ”という研究ではないので、
教育に関連する非常に多様なテーマが研究されています。
冒頭でお伝えした、
“自分の研究したいテーマは教育社会学にあるのかもしれない”
とは、このことであり、
不登校問題をはじめ、メリトクラシー(能力主義)、学歴、部活動、
教育とジェンダー、インクルーシブ教育、
移民の教育、教育と社会移動、、など様々です。
教育社会学を専攻できる、
東京大学大学院の教育学研究科の
比較教育社会学コースで過去に扱われた
修士論文テーマも参考にしてみてください。


「教育」は多くの人が幼いころから慣れ親しんできている存在です。
そこでは、良い経験も悪い経験もたくさんあり、
釈然としないままになっているものもあるかもしれません。
また、社会人であれば、近年は、
学び直し:リスキリングというキーワードが
よく出てくるようになったことからも分かるように、
教育と言うのは学校教育だけでなく、
人生の様々な場面で出会うことがあるテーマです。

教育社会学の教授・研究者

教育社会学を専門とする研究者・教授は
全国の大学に多数在籍しています。
教育社会学を大学院で研究して院卒後は就職を考える場合、
学歴として学校名が気になるかもしれませんが、
本来であれば、
大学院は学校名でなく、どんな研究をしている教授がいるか、
が重要です。
ここでは現役で教育社会学を研究している
代表的な教授・研究者を何人か紹介します。
※下記の所属情報は2024年6月現在のものです。

内田良(名古屋大学大学院教育科学発達研究科) 

本田由紀(東京大学大学院 教育学研究科)

小内透(札幌国際大学 人文学部 国際教養学科) 

多賀太(関西大学 文学部教育文化専修)

橋本鉱市(放送大学 教養学部/大学院文化科学研究科)

濱中淳子(早稲田大学教育・総合科学学術院 教育学部)

ここでは挙げきれないほど研究者がいるので、
他にも日本教育社会学会の理事や
事務局構成員も参考にしてみましょう。

教育社会学が学べるおすすめの大学院

本題となる教育社会学が学べる大学院を、
国公立、私立、関東、関西など、
なるべく、まんべんなく、紹介していきます。
教育社会学を学べる大学院の紹介で難しいポイントは、
研究科のコースや所属する教授のコースが違うことがあるということです。
どういうことかというと、
大学院の研究科の名称として教育社会学を名乗っていなくても、
教育学や社会学のコース内で教育社会学を学べたりします。
また、教育社会学を専門とする教授が
教育学系のコースや研究科に在籍している大学院もあったりします。
このため、
論文や上記の日本教育社会学会から、教授の名前を見つけて、
その教授が所属する大学院を探してみましょう。

東京大学大学院教育学研究科(比較教育社会学コース)


教育社会学を学ぶ大学院として、やはり、
東京大学大学院の教育学研究科(比較教育社会学コース)
は外せないでしょう。
上記で紹介した研究者の多くが
この東大大学院教育学研究科の出身で、
現役の教授陣も本田由紀教授をはじめ、
教育社会学を専門とする研究者が多数在籍しています。
ゼミ間の移動が比較的自由で
色々な教授からアドバイスがもらえる点も、
多様な研究テーマがある教育社会学としては大切な部分です。

京都大学大学院教育学研究科(教育学環専攻 教育文化学専攻コース)


京大大学院の教育学研究科の教育文化学専攻コースは、
文化社会学・歴史社会学分野 
社会調査・経験社会学分野
メディア文化論・図書館情報学分野
で構成されており、
逸脱をテーマに扱っている岡邊 健教授が在籍しています。
また、京大大学院は人間・環境学研究科に、
倉石一郎教授も在籍しています。

大阪大学大学院 人間科学研究科


阪大大学院の人間科学研究科には
教育社会学研究室が併設されており、
教育社会学に必要な調査手法について学ぶ授業などが設定されています。
ジェンダーの観点から教育を研究している木村涼子教授や、
学歴や教育格差をテーマに扱っている荒牧草平教授が在籍しています。

早稲田大学大学院 教育学研究科


早大大学院の教育学研究科は
教育社会学だけでなく
比較教育や教育心理など幅広いジャンルの教授が在籍しており、
教育社会学関連では
日本教育社会学会の会長も務めていた吉田文教授や
濱中淳子教授、菊地栄治教授が在籍しています。

日本大学大学院 文学研究科教育学専攻


日大大学院の教育学科(正式には文学研究科教育学専攻)には
広田照幸教授が在籍しています。
広田教授は東大大学院教育学研究科で教鞭をとっていたこともあり、
現在東大大学院教育学研究科に在籍している、
仁平典宏教授などの指導教員として、
多くの教育社会学者とも関わっており、
教育社会学を勉強していると様々な書籍でその名前を見かけることになります。

大学の専攻が教育社会学ではない人の教育社会学系の院試対策

教育社会学を研究テーマにするために大学院進学を考えているものの、
それまで教育社会学を学んでいない人はどのように院試対策をすべきでしょうか?
これはその人のバックグラウンドによります。
教育社会学を大学の学部で専攻した人はむしろ少ないと思います。
とはいえ、教育学や社会学を専攻していれば、
教育社会学関連の院試で出題される問題は比較的馴染みのあるものでしょう。
では、教育学も社会学も専攻していない場合はどうすればいいでしょうか。
ここまで紹介してきた私はまさに教育学も社会学も知らないまま、
東大大学院の教育学研究科の院試に挑戦した人間です。
近道や裏技はなく、地道に書籍と論文を読んで知識を増やして、
小論文対策としてアウトプットし続けていけば、
ゼロから教育社会学を勉強しても決して不可能なことではありません。
教育社会学の大学院進学や東大大学院の教育学研究科への院試対策については、
ここでは描ききれないので、
別途noteにて限定公開している記事で網羅的にお伝えしています。

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